
SEOとリスティング広告のどちらを優先すべきかは、集客したい時期、予算、検索需要、利益率、自社の運用体制によって変わります。
すぐに問い合わせや売上につながるデータを集めたい場合は、リスティング広告が選択肢になります。一方、継続的に検索されるテーマがあり、記事制作やサイト改善へ中長期で投資できる場合は、SEOに取り組む意味があります。
ただし、SEOは無料で安定した流入を得られる施策ではなく、リスティング広告も出稿すれば売上が発生する施策ではありません。どちらも、流入後のページや商品、問い合わせ導線が整っていなければ成果につながりにくくなります。
この記事では、SEOとリスティング広告の違いを整理したうえで、目的、予算、期間、採算性からどちらを選ぶか判断する方法や、両方を併用する際の考え方を解説していきます。
目次
SEOとリスティング広告には、それぞれ向いている状況があります。
「短期なら広告、長期ならSEO」と単純に決めるのではなく、成果が必要な時期、検索需要、利益率、社内体制を踏まえて判断しましょう。
| 自社の状況 | 優先しやすい施策 | 主な理由 |
|---|---|---|
| すぐに問い合わせや売上が必要 | リスティング広告 | 配信開始後から表示・クリック・CVデータを集めやすい |
| 新商品・新サービスの需要を確認したい | リスティング広告 | 検索語句やCVRを短期間で検証しやすい |
| 継続的に検索される課題や悩みがある | SEO | 記事やサービスページを継続的な集客接点として活用できる |
| 記事制作やサイト改善を続けられる | SEO | 制作・改善への投資をサイト内へ蓄積できる |
| 短期の売上と中長期の集客基盤が必要 | SEOと広告の併用 | 広告で集客しながらSEOの準備を進められる |
| 検索需要がほとんどない | 別の施策も検討 | SNS、動画、PRなど、認知を作る施策が適する場合がある |
| 広告のクリック単価が利益に対して高い | SEO・別チャネルを検討 | 広告を続けても採算が合わない可能性がある |
| サイトやLPのCVRが低い | 導線改善を優先 | 流入を増やしても成果につながりにくい |
どちらを選んでも、検索流入だけで売上が決まるわけではありません。商品・サービスの競争力やページの内容、問い合わせ後の営業対応も含めて考える必要があります。
SEOとリスティング広告は、どちらも検索ユーザーとの接点を作る施策ですが、掲載場所、費用、開始までの時間、表示の制御方法が異なります。
両者の違いを一覧で確認していきましょう。
| 比較項目 | SEO | リスティング広告 |
|---|---|---|
| 主な掲載場所 | 自然検索結果 | 検索結果の広告枠 |
| 掲載までの流れ | 調査、制作、改修、検索エンジンからの評価が必要 | 広告作成、入稿、審査後に配信 |
| 主な費用 | 調査、制作、改修、運用、更新費 | 広告費、運用費、LP制作・改善費 |
| クリックごとの媒体費 | 原則として発生しない | クリック課金が一般的 |
| 表示の制御 | 順位や表示内容を直接指定できない | 予算、キーワード、地域などを設定できる |
| 施策停止後 | 公開したページは残るが、順位や流入の維持は保証されない | 配信を停止すると有料広告からの流入も原則止まる |
| データの収集 | 検索クエリ、流入ページ、CVなど | 検索語句、広告文、クリック、CV、CPAなど |
| 主な用途 | 継続需要への対応、情報提供、比較検討の支援 | 短期集客、需要検証、顕在層への訴求 |
| 成果保証 | なし | なし |
SEOは、検索ユーザーの疑問や課題へ対応するページを作成し、自然検索からの流入やコンバージョンを目指す施策です。
クリックごとの広告費は発生しませんが、無料で実施できるわけではありません。
主に次の費用や工数が必要です。
検索順位や流入は、競合、市場、検索結果の変化などの影響を受けます。
一度上位表示されたページでも、情報が古くなったり、競合ページが改善されたりすれば、順位や流入が下がる可能性があります。
リスティング広告は、指定したキーワードと関連する検索が行われた際に、広告枠へ表示する有料施策です。
審査や設定が完了すれば、SEOよりも短期間で表示・クリック・CVデータを集めやすい特徴があります。
また、次のような項目を設定・調整できます。
ただし、設定したユーザーだけへ正確に配信されるわけではありません。
実際に広告が表示された検索語句を確認し、除外キーワード、広告文、ターゲティング、LPなどを継続的に改善する必要があります。
成果が必要な時期や、検索ユーザーの検討段階によって適した施策は異なります。
ここでは、代表的な目的・期間ごとの判断方法を解説していきます。
数週間から数カ月以内に成果が必要な場合は、リスティング広告を優先しやすくなります。
例えば、次のような場面です。
ただし、配信を始めれば成果が出るとは限りません。
検索需要、広告文、入札、LP、商品条件などによっては、クリックされても問い合わせや購入につながらない場合があります。
継続的に検索されるテーマがあり、制作・改善を続けられる場合はSEOが選択肢になります。
例えば、次のようなサイトです。
SEOでは、最終的な問い合わせに近いキーワードだけでなく、顧客が課題を認識し、解決策を比較する過程にも対応できます。
新しいサービスでは、SEO記事を大量に制作する前に、少額のリスティング広告で需要を検証する方法があります。
広告から確認できる主な項目は次のとおりです。
広告で得たデータをもとに、SEOで優先するテーマや訴求内容を検討できます。
ただし、広告で成果が出たキーワードをそのままSEO記事へ置き換えるのではなく、検索結果で求められているページ形式や競合状況も確認しましょう。
まだ商品・サービス自体が知られておらず、ユーザーが検索していない場合は、SEOやリスティング広告だけでは十分な接点を作れないことがあります。
その場合は、次のような施策も検討します。
SEOやリスティング広告は、すでに存在する検索需要へ対応する施策です。検索されていない商品では、先に認知や需要を作る必要があります。
どちらを選ぶか判断する際は、使える予算だけでなく、1件の顧客獲得にいくらまで支払えるかを確認します。
流入数やクリック数ではなく、問い合わせ、商談、受注、利益までを含めて考えましょう。
広告の想定CPAは、平均クリック単価とLPのCVRから概算できます。
想定CPA = 平均クリック単価 ÷ CVR
例えば、平均クリック単価が500円、CVRが2%の場合、想定CPAは2万5,000円です。
500円 ÷ 0.02 = 25,000円
ただし、問い合わせが発生しても、すべてが受注につながるわけではありません。
BtoBサービスでは、次の数値も確認します。
広告費が利益に見合うかを判断するには、1件のコンバージョンへ支払える上限額を決めます。
例えば、問い合わせ10件から1件受注し、1件の粗利益が30万円の場合、問い合わせ1件あたりの粗利益期待値は3万円です。
ただし、広告運用費や人件費、営業コストもかかるため、実際の上限CPAは3万円より低く設定する必要があります。
想定CPAが上限CPAを大幅に超える場合は、次を見直します。
SEOでは、記事制作やサイト改修を行った月に、すべての成果が発生するわけではありません。
一定期間の累計費用とコンバージョンを使って、獲得単価を確認します。
SEOの獲得単価 = SEOの累計費用 ÷ SEO経由の累計コンバージョン数
SEOの累計費用には、次を含めます。
SEOは、初期段階では獲得単価が高くなりやすい一方、同じページから継続的にCVを獲得できれば、累計の獲得単価が下がる可能性があります。
ただし、順位や流入が継続する保証はないため、維持・改善費も考慮しましょう。
両施策を比較する際は、流入数だけでなく、同じ事業指標を使用します。
| 指標 | 確認する内容 |
|---|---|
| CPA | 1件のCV獲得にかかった費用 |
| CAC | 1社・1人の顧客獲得にかかった費用 |
| 有効リード率 | 問い合わせのうち営業対象となった割合 |
| 商談化率 | リードが商談へ進んだ割合 |
| 受注率 | 商談が受注へ進んだ割合 |
| LTV | 顧客が一定期間で生む利益 |
| 回収期間 | 投資額を回収するまでの期間 |
| ブレンデッドCPA | SEO・広告を合わせた全体の獲得単価 |
SEOと広告では成果が現れる時期が異なるため、単月だけで比較するのは避けましょう。
SEOは、検索需要が継続しており、ユーザーの情報収集や比較検討を支援できる場合に向いています。
ただし、制作・改善を継続できる体制が必要です。
サービスに関連する課題、方法、比較、費用などが継続的に検索されている場合は、SEOで情報を提供する意味があります。
例えば、次のようなテーマです。
BtoBサービスや高額商品など、購入・契約前に複数の情報を比較する商材では、SEOコンテンツが検討を支援します。
記事だけでなく、サービス、料金、事例、FAQなどをつなげる必要があります。
競合記事の内容をまとめるだけでは、検索ユーザーが自社ページを選ぶ理由が弱くなります。
次のような情報を発信できる企業は、SEOへ取り組みやすい傾向があります。
SEOは、記事を一度公開して終わる施策ではありません。
効果測定、情報更新、内部リンク、既存ページの統合などを継続できる体制が必要です。
リスティング広告は、短期間で露出や反応を確認したい場合や、購入・問い合わせに近い検索へアプローチしたい場合に向いています。
広告を始める前に、LPと計測環境を整えておきましょう。
キャンペーンや販売期間など、集客したい期間が明確な場合は広告を利用しやすくなります。
SEOでは、必要な期限までに検索順位や流入が伸びる保証はありません。
「見積もり」「購入」「予約」「相談」など、行動に近い検索がある場合は、広告で優先的に検証できます。
ただし、クリック単価と利益が見合うかを確認する必要があります。
広告文やLPを分けることで、次の内容を比較できます。
広告を配信しても、LPの内容やフォームに問題があれば費用を消化するだけになります。
配信前に、次を確認しましょう。
検索ユーザーが存在しても、SEOやリスティング広告を始める前に別の課題を解決すべき場合があります。
流入を増やすことだけを目的にせず、事業やサイトの状態を確認しましょう。
新しい概念や認知されていない商品では、ユーザーが関連キーワードを検索していない場合があります。
この場合は、SNS、動画、PR、展示会などで認知を作る施策を検討します。
誰のどの課題を解決するサービスか分からない状態では、SEOのテーマや広告のキーワードを決められません。
先に商品・サービスの設計や訴求内容を整理しましょう。
すでに一定の流入があるのに問い合わせが発生しない場合は、新しい流入施策よりもページ改善を優先します。
問い合わせ後の商談・受注を計測できない場合、SEOと広告のどちらが利益へ貢献したか判断できません。
CRMや営業管理データと接続し、有効リードや受注まで確認できる状態を整えましょう。
SEOと広告を併用する場合は、両方へ均等に予算を分けるのではなく、それぞれの役割を決めます。
広告で短期的なデータを集めながら、SEOで中長期の情報資産を整える方法があります。
広告の検索語句やCVデータから、顧客が実際に使う言葉や成果につながるテーマを確認できます。
SEOへ活用する際は、次を確認しましょう。
SEOの記事やサービスページを制作しても、公開直後から流入が増えるとは限りません。
その間、購入・問い合わせに近いキーワードへ広告を配信し、短期的な集客を補う方法があります。
自然検索で上位に表示されているキーワードへ、広告も配信する方法があります。
ただし、広告とSEOを重複させれば必ず成果が増えるわけではありません。
次のような条件で検証しましょう。
重複出稿を続けるかは、広告経由のCVだけでなく、広告と自然検索を合わせた総クリック・総CV・利益で判断します。
すべてのキーワードで両施策を行う必要はありません。
例えば、次のように分けられます。
| キーワードの種類 | 主な施策例 |
|---|---|
| 購入・問い合わせに近いキーワード | 広告を優先し、SEOページも整備する |
| 課題・方法を調べるキーワード | SEO記事で情報を提供する |
| 新商品・新市場のキーワード | 広告で需要を検証する |
| 自社名・サービス名 | 競合広告や増分効果を確認して判断する |
| 検索需要が少ないテーマ | SNS・動画・PRなども検討する |
SEOと広告は、どちらかを選べば自動的に成果が出るものではありません。
よくある失敗を確認し、自社の判断に当てはまっていないか見直しましょう。
SEOには媒体へのクリック課金はありませんが、調査、制作、サイト改修、更新などの費用や工数がかかります。
広告費がないことと、集客コストがないことは同じではありません。
広告は比較的早くデータを集められますが、商品、広告文、LP、価格などに問題があれば成果は出ません。
配信開始後は、検索語句やCVの質まで確認しましょう。
流入が増えても、問い合わせや受注につながらなければ事業成果としては不十分な場合があります。
有効リード、商談、受注、利益まで追跡してください。
SEOと広告では、施策開始から成果が現れるまでの流れが異なります。
単月CPAだけで比較するのではなく、一定期間の累計費用と成果を確認しましょう。
予算や運用担当者が不足している状態で、SEOと広告を同時に広げると、どちらも中途半端になる可能性があります。
優先テーマや役割を決め、小規模な検証から始めましょう。
最後に、SEOとリスティング広告の選び方について、よくある疑問を解説していきます。
予算が少ないという理由だけでは判断できません。
短期間で需要やCVを確認したい場合は、対象を絞った少額広告が適することがあります。
社内で記事制作やサイト改善を進められる場合は、SEOへ継続的に取り組む方法もあります。
商材、クリック単価、検索需要、CVR、利益率、運用期間によって異なります。
広告はCPAや受注率、SEOは累計費用と累計CVを確認し、同じ事業指標で比較しましょう。
短期的な集客が必要で、広告の採算が合う場合は選択肢になります。
ただし、SEOと広告で対象顧客やキーワードが異なる場合もあるため、すべてを広告で補う必要はありません。
自然検索1位でも、広告を停止した場合に総クリック数やCVが減る可能性があります。
一定期間広告を停止するなどして増分効果を確認し、利益への影響から判断しましょう。
検索語句、CVR、広告文、LP、受注データなどをSEOのテーマ選定や訴求改善に活用できます。
ただし、広告で成果が出たキーワードでも、自然検索では別のページ形式が求められる場合があります。
検索需要が少ない商品や、まだ課題を認識していない顧客へ届ける場合は、SNS、動画、PR、展示会などが適することがあります。
検索施策だけでなく、顧客が情報収集する場所を確認しましょう。
SEOとリスティング広告のどちらを選ぶかは、短期・長期という時間軸だけでは決まりません。成果が必要な期限、検索需要、クリック単価、利益率、CVR、自社の制作・運用体制を合わせて判断する必要があります。
短期間で表示・クリック・CVデータを集めたい場合や、新しいサービスの需要を検証したい場合は、リスティング広告が選択肢になります。一方、継続的に検索されるテーマがあり、記事制作やサイト改善を続けられる場合は、SEOへ投資する意味があります。
SEOは媒体へのクリック課金がないものの、制作・改修・更新費がかかります。リスティング広告も、配信すれば売上が発生するわけではなく、クリック単価、CVR、有効リード率、受注率を確認しなければなりません。
両施策を併用する場合は、広告で需要や訴求を検証し、成果につながった情報をSEOへ展開する方法があります。ただし、自然検索と広告を重複させる際は、総CVや利益が増えているかを検証しましょう。
最終的には、流入数ではなく、問い合わせ、商談、受注、利益までを同じ指標で比較し、自社の事業成果に合う予算配分を決めることが重要です。
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著者情報 プロテア
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